肥満外来の治療では、患者の状態に合わせた抗肥満薬を処方することもあります。これを「薬物療法」と言います。
この記事では、
- 薬物療法って何?
- 抗肥満薬ってどんなもの?
- 実際にどんな薬を飲むの?
- 漢方薬やサプリメントも処方してもらえるの?
など、薬物療法の基本的な内容を解説します。
薬物療法とは?
薬物療法では、肥満を予防・抑制する「抗肥満薬」を使用し、患者のダイエットをサポートします。
神経へと働きかけるため、目に見えた効果を得やすいのがメリットです。
ですが、薬ばかりに頼って痩せると、薬をやめた途端にリバウンドしてしまう傾向もあります。
そのため、あくまでもメインの治療には食事療法や運動療法を採用し、薬物療法はサポートとして位置づけられるのが一般的です。
また、やはり薬の服用には、多かれ少なかれ副作用もつきまといます。
しっかりと医師の話を聞き、指示通りに服用しましょう。独断で服用するのは厳禁です。
薬物療法の具体的な内容は?
薬物療法で扱われている薬は、大きく2つのタイプに分けられます。
1. 食欲抑制剤
脳内の満腹中枢を刺激し、食欲を抑える薬です。これにより食事量を減らし、徐々に減量していきます。
国内の認可を受けているのは「サノレックス」という薬で、以下に該当する重度の肥満者だけに処方されます。
- 肥満度70%以上
- BMI35以上
- 1と2に該当しないものの、肥満による重篤な病気の危険性を認められる人
2. 脂肪吸収阻害剤(消化管リパーゼ阻害薬)
体内の脂質の吸収を抑える薬です。
脂肪の分解を促す「リパーゼ」という酵素を抑制し、食事から摂取した脂肪の3割を排泄させます。
一方で、便の脂肪分が多くなることから、下痢などの副作用も見られます。また、脂溶性ビタミンの吸収までも抑えてしまうため、食事やサプリメントでのカバーも必要です。
ポピュラーなのは、米国食品医薬品局(FDA)から認可された「ゼニカル」という薬です。しかし、国内では認可されていません。
海外輸入品を取り寄せることはできますが、やめたほうが無難でしょう。日本で入手できる抗肥満薬は、実質的にサノレックスのみ、ということになります。
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その他の薬物療法
また、抗肥満薬以外にも、
- 漢方薬
- サプリメント
- 点滴
といった方法をとるクリニックもあります。
そもそも、国内で認可されている抗肥満薬はサノレックスだけなので、肥満外来の薬剤師は、これらの役割を担っている場合も多いです。
1. サプリメント
医師や薬剤師の判断のもと、患者の状態に合ったサプリメントを処方します。
肥満外来では、食事療法を担当する栄養士とも連携するため、食事との栄養バランスを考えてくれるのもメリットですね。
処方されるのは「キトサン」や「ギムネマ」など、市販もされているサプリメントですが、薬局に行って自己判断で買うよりも、確かな効果を期待できます。
2. 漢方薬
こちらも患者の状態に応じて、有効な漢方薬を処方します。
すぐに効果を実感できるとは限りませんが、継続的に飲むことで基礎代謝の向上など、太りやすい体質を改善できると言われています。
ダイエットにおいて有名な漢方薬は、「防風通聖散」「大柴胡湯」「桂枝茯苓丸」などですね。
3. 点滴
ダイエットに必要なビタミンや栄養素を、点滴によって補います。
これによって肝機能、消化機能を改善したり、基礎代謝を向上させたりして、健康的に減量していきます。
もちろん、すぐに効果を実感できる人もいますが、あくまでも点滴のメリットは、錠剤よりも確実に薬を体内へと取り込めることです。
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