「痩せたい」と思っても、いきなり病院に通う人は少ないと思います。テレビや雑誌、インターネットでダイエットのやり方を調べて、試してみる人がほとんどではないでしょうか。
ですが、こうした「自己流ダイエット」にはリスクも伴います。しかも、そのリスクは20代よりも30代、30代よりも40代といった具合に、年齢を重ねるごとに増していくと言われています。
果たして自己流ダイエットには、どんなデメリットや危険性があるのでしょうか。肥満外来経験者の私が、クリニックで教わった内容をもとに紹介します。
もくじ
1. 間違った方法が多い
自己流ダイエットの1つ目の危険性は、なんといっても間違った方法が多いこと。
インターネットの普及した現代では、ダイエットに関する情報は無数に存在しますよね。けれど、これらの情報を鵜呑みにするのはとても危険です。
多くの関心を集めるダイエットは、一大ビジネスとして成り立っています。
いまやダイエットに関する記事は、話題性やアクセス数を生むために作られたもので溢れており、医学的根拠に乏しかったり、他人の書いた記事の焼き回しだったりすることも少なくありません。
これらを迂闊に信用すると、思うような成果を得られないばかりか、健康に害をもたらすリスクすらあります。ダイエットの多くは、食事や運動の習慣を変えるため、体の状態へとダイレクトに影響するからです。
間違ったダイエットは、仮に体重だけ落ちたとしても体の負担になり、栄養失調や自律神経の乱れなどを引き起こしかねません。
2. 肥満の原因に対処できない
そもそもダイエットの正解は、個人によって違うもの。これは私自身、「メディケアダイエット」という肥満外来で指導されたことですが、肥満の原因は人の数だけ存在します。
体質や体調、病気の有無、ホルモンバランスの変化といった「体内の原因」もあれば、毎日の食事、生活習慣、仕事やライフスタイルといった「体外の原因」もあります。病名は同じ「肥満症」だとしても、そこに至る道筋は千差万別なのです。
だからこそ、ダイエットは本来なら、一人ひとりの原因に合わせてピンポイントでアプローチしないといけません。
自己流ダイエットでは、どうしてもそれは難しくなります。自分の肥満の原因なんて思い当たる範囲でしかわかりませんし、体質に原因があった場合、検査も必要です。
大切なのは、しっかりと原因を辿り、個人に合わせたオーダーメイドの方法を実践すること。これにより、的外れでリスクのある治療を避け、効率よく健康に痩せられます。
3. リバウンドに繋がりやすい
せっかく一時的に痩せられても、我慢の反動からまた食べてしまう……。こうした「リバウンド」を引き起こしやすいのも、自己流ダイエットの特徴です。
自己流ダイエットのなかには、過剰な運動や食事制限に頼るものも多いですよね。しかし、これらのダイエットを継続するのは、当然ながらストレスになります。
人間はストレスを感じると、それを埋め合わせるために手軽な幸福感を求めるため、さらなる食事に繋がってしまいます。暴飲暴食はその一例です。
これもメディケアダイエットで指導されたことですが、ダイエットで重要なのは「理性」と「本能」をコントロールすること。
時には好きなものを食べる日を作ったり、カウンセラーにダイエットの悩みを打ち明ける日を作りましょう。本能を満たしながら取り組まない限り、なかなかダイエットは成功しません。
4. 年齢を重ねるほどにリスキー
自己流ダイエットに取り組んでいる人のなかには、
- いろんなダイエットを試してみて、自分に合う方法を見つけていこう!
- ダイエットに失敗しても、また別の方法に挑戦しよう!
そんな風に考えている人も多いのではないでしょうか。
ですが、ご注意ください。自己流ダイエットは、年齢を重ねれば重ねるほどリスクも高まります。
体力のある10代や20代のうちなら、目に見えた問題は起こりづらいかもしれません。しかし、体の衰えてくる30代や40代からは別。
長年の食生活の乱れによって、内臓や血管に負担がかかっていることも多いため、間違った食事制限などを行うと、ガクッと体調を崩してしまいます。
そもそも、人間の基礎代謝は加齢とともに落ちるため、高齢になればなるほど肥満者の数は増えていきます。
女性の場合、更年期によるホルモンバランスの変化も肥満の原因になりますね。そのため、いち早く正しいダイエットを取り入れないと、体重の“増え幅”は上がる一方です。
また、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病患者の割合も、年齢とともに増えるもの。もし生活習慣病を患っていた場合、自己流ダイエットは治療の必要な体に鞭打つ行為になります。
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5. 最悪の場合、重篤な生活習慣病に
さて、このように不健康な自己流ダイエットを続けているとどうなるか。思うように肥満を解消できず、最悪の場合、重篤な生活習慣病の原因にもなりかねません。
なかでも内臓脂肪型肥満は、血中の糖質や脂質の量に影響し、糖尿病や高血圧、高脂血症などを引き起こしやすいです。
これにより血管に負担がかかり続けると、やがて血管が硬くなる「動脈硬化」の状態に。そして、動脈硬化が心臓や脳の周辺で起こると、心筋梗塞や脳卒中といった命を脅かす疾患にも繋がります。
▼肥満と病気の関係について。
自己流ダイエットのリスクに備えるなら、肥満外来への通院を
では、こうした自己流ダイエットのリスクを回避するにはどうしたらいいのでしょう。予算や時間の都合もあるかと思いますが、肥満外来のお世話になるのがベストだと思います。
肥満外来なら、患者ごとに異なるダイエットの「正解」を教えてくれるため、
- 本当にこのやり方でいいのかな?
- また効果を得られなかった……。
などの回り道は必要ありません。
さらには、ただ体重を落とすのではなく、食生活やライフスタイルを抜本的に改善するため、リバウンドのリスクはなく、自ずと生活習慣病を予防・治療することもできます。
▼いきなり通院するのが不安な人は、無料カウンセリングを受けてみるのも手です。