糖尿病とは?
糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇する病気です。
厚生労働省の調査によると、糖尿病の疑いがある人は約1000万人とも推定され、いまや国民病となっています。
高血糖の状態になることで、さまざまな体調不良に悩まされるのみならず、悪化すると神経や目、腎臓の合併症も引き起こすため、とても恐ろしい病気です。
症状 | のどの渇き、多飲、多尿、体重減少、体力・持久力の低下、空腹感、だるさ、疲れやすい など |
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なりやすい人 | 40歳以上の人、肥満の人、著しい運動不足を抱えている人、血縁者に糖尿病の患者がいる人 |
合併症 | 脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害 など |
糖尿病の主な症状は?
糖尿病の初期症状は、ほとんどの人に自覚症状がありません。恐ろしいことに、悪化するまで体の変化を感じられないのです。
そのため、糖尿病を患っても放置している人は少なくありません。しかし、悪化してしまうとさまざまな合併症を引き起こし、最悪の場合は命さえも脅かします。
症状が出やすい目、神経、腎臓
なかでも合併症になりやすいのは、目、神経、腎臓の3つ。いずれも血管が細く、高血糖のダメージを受けやすいのが原因です。最悪の場合は失明したり、神経の麻痺のせいで足先を腐敗させてしまったりするケースもあります。
また、糖尿病は血管を硬くする「動脈硬化症」のリスクも高めます。動脈硬化症は脳梗塞、心筋梗塞に繋がったり、太い血管の損傷によって起こる「大血管障害」の原因になったりします。いずれも命に関わる危険な病気です。
肥満と糖尿病の関係は?
では、なぜ肥満は糖尿病の原因になるのでしょうか。鍵を握るのが、体内の「インスリン」というホルモンです。インスリンは、血液中のブドウ糖をエネルギーに変換し、血糖値の上昇を抑える役目を担っています。
しかし、肥満になるとインスリンの機能は低下してしまいます。それをカバーするために、体はインスリンを増産しますが、これが一定量を超えると、今度はインスリンを機能させるために必要な別の物質が少なくなります。結果として、血糖の処理がどんどん追いつかなくなり、糖尿病を引き起こしてしまうのです。
日本人の糖尿病の9割は「2型糖尿病」
実は糖尿病には、いくつかのタイプが存在します。
代表的なのが「1型糖尿病」と「2型糖尿病」です。特に2型糖尿病は、日本の糖尿病患者の9割以上を占めており、一般的に言われる「糖尿病」はこちらを指すケースが多いです。逆に1型糖尿病の患者は、全体の数パーセントにしか上りません。
2つの糖尿病の違いは原因です。1型糖尿病は、ウイルス感染や自己免疫疾患などにより、インスリンを作るβ細胞が破壊されることで起こります。一方の2型糖尿病は、食べすぎや運動不足といった生活習慣の問題や、遺伝的なインスリンの機能低下などで発生します。つまり、肥満が原因になるのは2型糖尿病ということですね。
糖尿病の予防には血糖値を抑える食生活を
糖尿病を予防するには、まずはしっかりと肥満を改善し、血糖値を急上昇させない食生活を心がけることです。
そのためには、食事の栄養バランスを管理するのはもちろんのこと、運動不足を解消し、適正な体重を維持しないといけません。肥満外来を受診すれば、栄養士の指導のもと食生活を改善できるほか、個人の体力や肥満度に合った運動も指導してもらえます。