【ダイエット外来体験者の肥満外来完全ガイド】

ダイエットのお薬「抗肥満薬」の疑問を丸ごと解決!薬だけ貰えないの?サノレックス(マジンドール)の効果とは?

Chie
こんにちは! 肥満外来経験者のChieです。

肥満治療では、ダイエット用のお薬「抗肥満薬」を処方するケースがあります。なんだか飲むだけで痩せられそうな甘〜い響きですが、実際にはどんな薬なのでしょうか。

そこで今回は、

  • そもそも抗肥満薬って何?
  • 飲むだけで痩せられるの?
  • どうやって入手するの?
  • 副作用はないの?

などなど、抗肥満薬のよくある疑問について、実際に抗肥満薬を処方されたことのある私が、まるっと解説します。

 

抗肥満薬とは?

抗肥満薬とは、読んで字のごとく肥満の抑制、予防などに使用される薬です。

薬の種類は主に、

  • サノレックス(マジンドール)
  • ゼニカル

という2つが存在します。

 

ただし、国内で医療行為として認可されているのは、食欲抑制剤であるサノレックス。私が「メディケアダイエット」という肥満外来で処方されたのも、この薬です。

 

逆にゼニカルは「FDA(米国食品医薬品局)」に認可された薬で、欧米の肥満治療において処方されています。ゼニカルは脂肪吸収抑制剤といって、体内への脂肪の吸収を阻害する効果を持っています。

 

また、抗肥満薬とは異なりますが、患者の食生活に不足している栄養素をサプリメントで補ったり、基礎代謝を向上させる漢方薬を処方したりと、肥満治療において薬を処方することは一般的になっているようです。

 

抗肥満薬・薬物療法の役割は?

では、こうした抗肥満薬は、どんな場面で使われ、どんな役割を持つのでしょうか。

 

主に使用されているのが、肥満外来での「薬物療法」です。しかし、一般的な病気と異なり、薬の処方がメインの治療になることはありません

あくまでも薬物療法は、食事療法や運動療法といったメインの治療のサポート。薬ばかりに依存していると、処方をやめた途端にリバウンドへと繋がってしまいます。それだけでなく、服用を続けていると効き目が落ちたり、副作用も出てきたりします。

 

たとえば、BMI35以上の重度の肥満者に「運動しろ」と言うのは難しいですよね。体重によって関節などを痛めてしまうかもしれません。抗肥満薬はこうしたシーンで処方されます

Chie
薬と聞くと、よく「これさえ飲めば大丈夫」という認識を持っている人がいますが、これは間違い。抗肥満薬は「必要に応じて処方されるもの」として捉えておくのが正解だと思います。

 

サノレックス(マジンドール)の効果

続いて、日本で処方されているサノレックスがどんなものなのか、もう少し詳しく紹介しましょう。

 

サノレックスの効果・作用

サノレックスとは、満腹中枢へとダイレクトに働きかけ、食欲を抑制する薬です。商品名の「マジンドール」と呼ばれることも多いとか。

一般的に体重の5%〜8%の減量に繋がると言われていますが、飲めば減量が約束されているような魔法の薬ではありません。

 

そもそも人の食欲は、脳内にある満腹中枢と摂食中枢によって生まれています。これを神経伝達物資であるドーパミンが刺激し、飢えや空腹などの感覚へと繋がっているのです。

サノレックスはそのドーパミンをコントロールすることで、満腹感を与えます。これにより、

  • そもそも何かを食べたいという欲求が薄くなる
  • 何かを食べても、お腹いっぱいになるまでの時間が短くなる

という状態にするのが、サノレックスの狙いです(私も実際に体感しました)。

 

また、同時にサノレックスは基礎代謝を向上させるとも言われています。

基礎代謝とは、呼吸や内臓の働きなど、生きているだけで消費されるエネルギーのこと。1日の消費カロリーの7割を占めるので、基礎代謝の向上は痩せることに繋がります。

 

サノレックスの安全性

サノレックスは薬事法で認められている薬のため、安全性は担保されています。

とはいえ、あらゆる薬と同様に副作用があるのも確かです。そのため、サノレックスは「時限式」とも呼べる仕組みを採用しています。

どういうことかというと、サノレックスを処方する場合、最大の服用期間は3ヶ月。そればかりか、1ヶ月の服用で効果がなかった場合、即座に処方を打ち切らなければなりません。

 

サノレックスの副作用

サノレックスの副作用で有名なのは、

サノレックスの副作用
  • 口内の渇き
  • 便秘
  • 嘔吐感

などなど。特にアルコールとの併用は非常に危険だと言われています。

 

副作用が見られる割合は、およそ5人に1人

これを多いと考えるか少ないと考えるかは微妙ですが、私の場合は幸いにして、副作用を感じることはなかったです。

Chie
ただし、それは薬物療法と併せて行っていた食事療法の賜物だと思います。医師や薬剤師の説明にしっかりと耳を傾け、独断で飲み方を決めるのは絶対に控えましょう。

 

保険は適用されるの?

国内におけるサノレックスの処方は、以下の場合に保険の適用内となります。

保険適用の条件
  • 肥満度が70%以上
  • BMIが35以上

それ以外は自由診療です。また、病院ではなくクリニックなどで診療を受ける場合も、保険は適用されません。

 

薬だけもらうことはできないの?

ネットを見ていると、よく「薬だけ病院でもらいたい」という人がいます。しかし、残念ながらこれはとても難しいです。

 

先ほども説明した通り、抗肥満薬はそもそもサポート役に過ぎません。肥満の原因は日々の食生活、生活習慣、体質や遺伝子によって左右されるため、薬で減量しても一時しのぎにしかならず、根本的な改善に繋がりません

 

私もメディケアダイエットで抗肥満薬を処方してもらったとき、院長の岡田先生にこんな指導を受けました。

岡田先生
今回は薬を処方しますが、薬を飲むだけで治療はできません。薬で一時的に症状を抑えても、再発したらそれは「治療失敗」です。

治療とは、再発しない状態に持ち込むこと。なので、薬に頼りきりにならないように気をつけてください。

肥満治療に限らず、日本の医療では「薬を出す=治療」のような風潮がありますが、あくまでも目的は病気を根本的に治すこと。薬はあくまでも対処療法に過ぎません。

 

また、サノレックスはじめ抗肥満薬には副作用があります。サプリメント感覚で飲むのは非常に危険な薬なのです。そのことは医師や薬剤師もわかっているので、薬だけを処方することはないでしょう。

 

市販品や海外輸入品の入手は?

また、肥満外来に通うのはハードルが高いからと、市販薬や海外輸入品を求める人もいるようです。

 

時間や予算の都合もあるので、市販品を購入するのは一つの手でしょう。しかし、海外輸入品を入手するのはおすすめできません

なぜなら、輸入した抗肥満薬は欧米人の体格や体質を考慮し、その国々で認可されています。諸外国では認可されている「良い薬」が、あなたにとっては「悪い薬」になるかもしれないのです。

 

ここでもうひとつ、抗肥満薬の歴史をお話しさせてください。

実は、サノレックスのような食欲抑制剤の開発は、これまでに何度も中止になっています

その理由は、著しい副作用。満腹中枢を刺激する食欲抑制剤は、セロトニンやノンアドレナリンといった神経伝達物質にも影響します。これにより循環器や精神状態などのコントロールが狂い、循環器障害や自殺率の上昇を引き起こしてきたそうです。

Chie
本当にゾッとする話ですよね……。

 

サノレックスは、さまざまな薬が開発と中止を繰り返すなか、ようやく「医師や薬剤師が扱うなら」と認可された薬。

それでさえ「3ヶ月以上の服用は禁止」という制約があるのが、実情なのです。

 

抗肥満薬を求めるなら肥満外来の受診を

このように、抗肥満薬は飲むだけで痩せられる魔法の薬ではありません

正しく服用しなければ、体に大きなリスクを背負わせることになります。それはサプリメントや漢方薬も同じで、大切なのは体の状態に合わせて服用することです。

 

けれど、その見極めは独断ではできません。肥満外来に通い、専門家の管理のもとで正しい指導を受けるべきだと思います

肥満外来の医師や薬剤師は、患者ごとにベストな薬の種類、量、タイミングなどを熟知しています。さらには栄養士との連携によって、薬の効果をより引き出すような食生活も提案してもらえます。

 

自分の体をしっかりと思いやり、薬による肥満治療を行いたいなら、医師や薬剤師の判断を仰ぐために、肥満外来に通うのが正しい第一歩なのではないでしょうか。

 

▼正しい判断をプロに仰ぐなら。