ストレスによる過食の原因と治し方。止まらない肥満とうつのサイクルから抜け出そう【メディケアダイエット論 #5】

Chie
こんにちは! 肥満外来経験者のChieです。

シリーズ「メディケアダイエット論」は、私の通っていた肥満外来「メディケアダイエット」で教わった痩せるメソッドを紹介する連載。

第4回のテーマは「ストレスによる過食」。ダイエットのストレスで食べ過ぎてしまうのはもちろんのこと、仕事や人間関係のストレスで過食に走ってしまう人もいると思います。悪化するとうつ状態になったり、過食嘔吐を繰り返したりと、本当に辛い日々を送っている人も少なくないでしょう。

今回は、メディケアダイエットで聞いたお話をもとに、ストレスによる過食の原因と改善策について紹介します。

 

過食の原因は「本能と理性のギャップ」

私自身、太った原因の一つは仕事の部署異動に伴うストレスでした。

連日、遅くまでは残業しては、家に帰って3〜4時間ほど眠り、また会社に。さらには仕事上の不安も絶えず、そんなストレスを穴埋めするために常に何かを食べていました

過食というほどではないものの、明らかに食べすぎなのに歯止めは効かない……。しかも、頭のどこかには常に「また太ってしまう」という意識もあったので、食後の罪悪感たるや目も当てられませんでした。

 

岡田先生から過食についてのお話を聞いたのは、そんな悩みを打ち明けたとき。まだカウンセリングを始めたばかりの時期でした。

Chie
食べちゃいけないのはわかってるのに、どうしても食べちゃって。なんでこうも我慢できないんでしょうか。
岡田先生
我慢したくても我慢できないのは辛いですよね。

過食に走ってしまう理由はシンプルです。人間は強いストレスを感じると、身近な幸福で埋め合わせようとします。つまり「食事」という幸福に頼ってしまうんです。

ダイエットのストレスにせよ、仕事や人間関係のストレスにせよ、ほとんどの人に当てはまると思います。

Chie
なるほど……。なんだか浅はかで情けないです。
岡田先生
ストレスをケアしようとするのは、心を健康に保つために必要なことです。恥じることはありませんよ。

というより、過食を改善したいならむしろ、そこで自分を責めるのは良くないんです。過食してしまった自分を、まずは許さなきゃいけません。

Chie
えっ。過食した自分を許してしまったら、どんどん悪化してしまう気がします……。
岡田先生
それが実際は逆なんですよ。過食した自分を責めると、そこには「意識と本能のギャップ」が生まれます。
Chie
意識と本能のギャップ?
岡田先生
はい。Chieさんは「食べちゃダメだ」と思いながらも食事をする手を止められなかったんですよね。それどころか「自分はなんて忍耐力のないダメな人間なんだ」とさえ考えていたのではないでしょうか。

この自責の念は、いわば「理性」です。一方で、理性の制止を振り切って暴走してしまっている食欲は「本能」だと考えてください。

Chie
はい……。
岡田先生
この理性と本能が別のベクトルを向けば向くほど、ストレスの総和は大きくなります。「食べちゃダメなのに食べてしまった」と。

そして、自責の念に駆られれば駆られるほど、それがまたストレスになって食べてしまう。完全に負のスパイラルですよね。

Chie
心当たりはすごくあります。
岡田先生
本能は弓の弦のようなもの。理性によって抑圧されればされるほど、反動で食欲も大きくなります。

過食の人は、決して忍耐力が弱いわけじゃないんです。むしろ自分を正そうとする意思が人一倍強い人ほど、過食に陥りがちな傾向を感じます。

なかなか難しいかもしれませんが、自分は悪くないということをまずは認識してほしいです。

Chie
ありがとうございます。心が少し軽くなりました。

 

「痩せるロジック」を理解しよう

Chie
ですが、どうしたら負のスパイラルから抜け出せるんでしょう。
岡田先生
もちろん一番は、ストレスの元凶を取り除くことです。ただ、それが仕事や人間関係など、外的な要因である場合は簡単には取り除けませんよね。

そのため、まずは自分でどうにかできる内的なストレスから取り除きましょう。つまり、もし過食に走ってしまっても、自分を許してあげてください

Chie
なるほど……。善処してみますが、なかなか自分を許すのは難しい気もします。食べてしまった事実は変わりませんし、太ってしまうのも避けられませんし……。
岡田先生
確かに現実問題として太ってしまったら、自分を許すのは難しいかもしれませんね。

本当に「太ってしまうのも避けられない」のだとしたら

Chie
ん? どういうことですか?
岡田先生
そもそもとして、たった1〜2回食べすぎたくらいでは、体は太らないんですよ。

一時的に体重が増えたとしても、1週間もあれば元に戻せます。食べすぎた分の食事量を翌日以降に少し減らせば、体重はきちんと減るんですよ。無理をする必要もありません。

極端な話、Chieさんは「また太ってしまう」と思って強いショックを受けているわけですが、実際には全く深刻な問題じゃないんです。

Chie
そ、そうなんですか!? そんな簡単に痩せるなんて、にわかに信じがたいですが……。
岡田先生
それは、Chieさんがダイエットで成功体験をしていないからです。だから「太る=深刻な事態」になってしまう。

大切なのは、痩せるロジックを知識としても実感としても理解すること。どうしたら痩せるかを学びましょう。やるべきことさえわかっていれば、食べてしまっても「じゃあこうしよう」と思えるじゃないですか。

Chie
確かに。
岡田先生
たとえば、肥満は日々の食生活の乱れが蓄積して起こるもの。過食で太った人は、ほんの数回の過食ではなく、それを何度も繰り返すことで徐々に太っているんです。

あらかじめこのことを理解しておけば、1回や2回の食べすぎは気にならない。それどころか、ストレスをコントロールするために好きなものを好きなだけ食べる日を作ることもできるようになります。

Chie
好きなものも食べていいんですか!?
岡田先生
もちろん。むしろ、過食を防ぐためには「主体的に食事すること」もすごく大切なんです。

食欲は本能です。でも、現在は「食べたい」という本能を、理性で押さえ込もうとしてますよね。そうではなく、普段からちゃんと満たしてあげれば、自分でも制御できないような食欲に振り回されることは減っていきます。

Chie
なるほど……。そのためにこれからの通院で、ダイエットの知識や習慣を身につけていくってことなんですね。

 

ストレスを解消しよう。過食に代わる楽しみを見つける

岡田先生
また、そもそものストレスの元凶を断てないのだとしても、ストレスの量を減らすことは意識しましょう。

人間は慢性的なストレスに晒されると、コルチゾールというストレスホルモンが増加します。すると体が飢餓状態になり、ストレスが食欲を作り続けてしまうと言われています。

Chie
そうなんですか。
岡田先生
はい。だから、あらゆる場面でストレスを減らせそうな行動を選択してください。食事や運動とは無関係でも、それも立派な肥満治療です。

プライベートでは食事以外の楽しみに没頭し、どんどん本能を満たしてあげましょう。Chieさんは読書と映画鑑賞が趣味でしたよね? 思う存分楽しんでください!

Chie
好きなことをするのが治療になる……。それは嬉しいです。
岡田先生
やりたいことリストを作るのもおすすめですよ。「○○という小説を読みたい」という小さなものから「パリに旅行したい」みたいな大きなものまで。

そして、休日はそれらを思うがまま行動に移していく。すると毎日に張りが出て、エネルギッシュになり、ストレスの総量も減っていきます

Chie
さっそくやってみます!
岡田先生
それともう一つ忘れてはならないのが……悩みを一人で抱え込まないでください。家族でも友人でも同僚でも良いので、ストレスはしっかりと吐き出しましょう。

もちろん私たちにもなんでもご相談ください。通院の日でなくても、メールなどを送ってくださって構いません。特にダイエットに関する悩みは、誰にでも話せることじゃありませんからね。

Chie
わかりました。心強いです。

 

過食は体からの「辛い」「助けて」というサインかも

岡田先生
また、過食は体からの「辛い」「助けて」というサインかもしれません。栄養不足も過食を引き起こすんですよ。
Chie
えっ。でも、過食によって栄養は相当補給してるのでは?
岡田先生
いえ、食事量の多さと栄養不足は全くの別物です。食事に著しく偏りがあれば、どんなに食べていても必要な栄養素を一切摂れてない可能性は大いにあります。

たとえば、必須アミノ酸の一つであるトリプトファン。たんぱく質に多く含まれる成分なんですが、これが足りないと脳内のセロトニンの働きに支障を起こします。

Chie
えっと……確かセロトニンは、心の働きに強く影響するホルモンですよね。
岡田先生
はい、心の健康には欠かせない存在です。セロトニンが上手く分泌されないと、うつ病や統合失調症のリスクが高まると言われています。

Chieさんが過食に走ったときのことを思い出してほしいんですが、過食するときに食べてるものって、だいたい炭水化物か甘いものじゃありませんか? 菓子パンとかチョコレート、あとはラーメンなどの麺類……。

Chie
そ、そういえば。
岡田先生
つまり、肉や魚などのたんぱく源をしっかりと摂れてないんですよ。過食の人の多くは、そういう食生活になってます。

これによりトリプトファンが不足し、脳内がセロトニン不足に陥る。それがストレスを引き起こし、結果的に過食へと走らせている。このように、過食が実は体からの「助けて」というメッセージだった、というケースはよく見かけます。

Chie
ダイエットや日常生活のストレスだけでなく、栄養不足が根本的な原因になってるってことですか。
岡田先生
この場合、1日3食きちんとたんぱく質を摂取するだけで、ストレスがグッと解消されることもありますよ。

食事は目に見えた体型だけでなく、目に見えない心にも作用している。そのことをしっかりと理解することが大切です。

Chie
わかりました!
岡田先生
もちろん、現在1日3食たんぱく質を摂れてない人は、往々にして食生活を気遣えない事情があるもの。Chieさんの場合も、仕事でどうしても外食メインになることや、そもそも肉や魚が苦手なのが原因ですよね。

そんななかで無理なく食生活を改善するにはどうしたらいいか。それを皆さん一人ひとりに合わせて考えるために、私たちプロが存在するんです。一緒に頑張っていきましょう。

 

まとめ

今回のお話をまとめると、過食を引き起こす原因は大別して3つ。

過食の原因
  1. 理性と本能のギャップ
  2. ストレスホルモン「コルチゾール」増加による飢餓状態
  3. 必須アミノ酸「トリプトファン」不足など、栄養不足に対する体からのサイン

原因はどれか1つのこともあれば、3つすべてが入り混じっているケースもあるそう。どれが先、どれが後という順番も一概には言えないため、総合的にアプローチしていくのが大切だと思います。

特に過食の難敵はストレスです。「これで痩せる!」と確信しながらダイエットに取り組めなければ、それは不安という名のストレスになって過食を悪化させます。よしんば痩せると信じられても、結果に結びつかなければやはりストレスになるでしょう。

過食にお悩みの人にはプロの手が必要で、肥満外来との相性は良いと思います。ぜひ通院を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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